過去の過ちを悔やむんなら其れを繰り返さないことだ。でも所詮事象は違えど胸 中は巻き戻しから再生の過程。ならば一層、あなたもわたしも此の儘どろどろに 融けて消えて、また同じ胎の中に舞い戻って。今度は殻の中でも好い。双子とし て産まれどもきっと愛し合うだろうなんて、軽い。秘密にして居ても気付いて欲 しい傲慢。満たされないのはわたしの我儘かあなたの怠惰か。だが言葉にしたと ころで解り合える筈も無いことは千も承知、其れでも。


「愛しているよ」
「ああ……そんな!」


ひとつに成れども心は繋がれない寂漠を、弾けて捨てて終いたいのだ。
ただ それだけなのだ。




(030307.)